南海トラフ巨大地震への注意が喚起される中、在宅で避難していた場合、食料は配布されるのか気になりますね。そこで、在宅避難でも食料などの生活物資は配給してもらえるのか最新情報をまとめました。
在宅避難者の人数
被災した人全員が避難所に避難できるわけではありません。災害時、在宅避難避難者はどれくらいいるのでしょうか。東日本大震災時には在宅避難者数を把握しているデータが残っています。総務省のデータによると岩手県において発災してから3週間後の4月3日時点で避難所での避難者24,693人、在宅避難者24,327人だったそうです。避難所への避難者と在宅避難者はほぼ同程度いたことがわかります。
在宅避難者は食料を配布してもらえたか?〜過去の事例〜
筆者の知人は、阪神淡路大震災の際、自宅が半壊し避難所へ避難しました。すでに避難所は満杯で受け入れてもらえなかったため、やむを得ず半壊した自宅へ戻ったそうです。しかし、食料や水がなく、避難所にもらいに行きましたが、「避難所に滞在していない」と言う理由で水や食料の配給を断られました。このような体験は東日本大震災の際にもネットで見かけました。現在でも在宅避難者は食料を配布してもらえないのでしょうか。
在宅避難者への食料配布は「努力義務」
平成25年災害対策基本法が改正され、在宅避難者への食料の配布が地方自治体の「努力義務」になりました。「努力義務」と言うのは、「できる限りがんばりなさい」と言う意味で、法律上「〜しないといけない」などと表現される義務規定とは異なります。つまり、「努力をしなさいでも無理だったら仕方ない」程度のことになります。災害時は在宅避難者への食料配布まで手が回らないことが考えられるため、義務ではなく努力義務になっているのだと推測できます。
実際の災害時の対応
災害対策基本法の改正を受けて、令和元年の東日本台風の際には、在宅避難所に食料を提供するよう内閣府は地方公共団体に要請しています。しかし、国から自治体に要請がされても、実際に避難所運営をするのは、自治体です。現場の状況を汲み取りながら、在宅避難者への食料を配布するのか判断するのは避難所運営者側の裁量と言うことになるでしょう。
最新の国の対応
令和6年6月に内閣府で「在宅・車中避難者等の手引き」が策定されました。この手引きによると「在宅避難者の支援の拠点を設置し、水・食事・物資等の提供、支援情報の発信等、必要な支援を行うことを検討する」と記載があります。つまり在宅避難者の食料の配布はまだ検討段階である、と言うことになります。検討段階であることだけでも前進なのかもしれませんが、もし今、被災したとすると、現段階で在宅避難者の食料配布はあまり期待できないと言うことになります
まとめ
在宅避難者の食料配布についての議論は前進していますが、実現化するまではまだ道のりが長そうです。在宅避難者の食料配布が全く無視されているわけではありませんので、もちろん食料などが余っていれば在宅避難者も配布してもらえるでしょう。しかし余っていなければ期待はできません。様々な災害が発生している災害大国日本では、自分の食料は自分で備蓄しておくと言う気持ちが重要なのかもしれません。
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